防災教育について(平成17年度から)

気仙沼市立階上中学校の防災教育

1 概要

 本校では平成17年度、総合的な学習の時間のテーマを「防災」としてカリキュラムに位置づけ、

災害発生時の対応力を高めることを目的とし、1年目は「自助」、2年目は「公助」、3年目は「共

助」をテーマとして3年1サイクルで行っていた。しかし、防災学習が「体験して終わり」になりがち

であったことから、それまで行ってきた体験活動を必要最低限のものに改め、平成29年度から探究活

動を取り入れた。

 震災から10年以上経過し、地球温暖化等の影響による様々な自然災害が世界中で頻発しているなか

で、「地震や津波への防災」からさらに視野を広げさせるため、令和3年度からは総合的な学習の時間

の計画にSDGsの目標4(質の高い教育をみんなに)、11(住み続けられるまちづくりを)、14

(海の豊かさを守ろう)、15(陸の豊かさも守ろう)、17(パートナーシップで目標を達成しよ

う)を取り入れた。また、平成29年度から続いていたグループでの探究を個人に改め、上記のSDG

sの目標と関連付けた「防災×○○」というテーマを生徒一人一人に設定させ、探究的な学びが深まるよ

う工夫した。

 以降、体験学習と個人探究学習を織り交ぜながら、防災・減災を基盤としたESDの推進を図ってい

る。

 

2 令和5年度の実践

(1) テーマ: 防災・減災を軸としたESD

(2) 目 標: 防災・減災を軸とした学習を通して、地震津波災害とその備えについて学び、発災後

       の適切な判断・行動ができるようにする。また、海洋や気候変動に視点や学習内容の幅

       を広げながら探究することを通して、地域・社会とのつながりを考えるようにする。

(3) 身に付けたい資質・能力

  ① 災害発生に伴う危険を理解・予測し、自らの安全を確保するための行動や日常的な備えについ

   て理解することができる。【知識・技能】

  ② 自然災害への適切な思考・判断に基づく意思決定や行動選択をしたり、防災・減災について学

   習した内容を表現したりする。【思考力・判断力・調整力等】

  ③ 地域住民の一員として、自分ができることを主体的に実践したり、学んだことを積極的に発信

   したりする。【学びに向かう力・人間性等】

 (4) 総合的な学習の時間の学習内容

 ①  個人探究

 <課題>

   1学年探究課題 「地域再発見 ~防災と海と地域について知る~」

   2学年探究課題 「地域課題 ~地域と向き合う~」

   3学年探究課題 「地域貢献・参画 ~地域の一員としての自己の役割を果たす~」

 <学習内容>

   ガイダンス、講話(テーマ:地球温暖化、海洋、被災体験、水産資源、リサイクル等)、課題設

  定(海洋教育副読本の活用)、課題追究、考察・まとめ・中間発表、探究学習発表会(ポスターセ 

  ッョン)

 ②  体験学習

   1学年 地域巡検、清掃活動、ボランティア等

   2学年 震災遺構等訪問(陸前高田市)

   3学年 震災遺構等訪問(石巻市)

  

(5)地域との連携

 ①階上地区防災教育推進協議委員会

   学区内にある保育所・小学校・高校などの教育施設だけでなく、警察、消防、市役所などの行政

  機関、JA、JFなどの民間組織、自治会、婦人防火クラブ、婦人会などの自治組織などの代表で

  構成される「階上地区防災教育推進委員会」の協力と連携を図りながら実践している。

   今年度も気仙沼市総合防災訓練実施日に合わせ、午前中は生徒が各自治会主催の防災訓練に参加

  し、午後には本校体育館で避難所初期設営訓練を実施する予定。

 ②小中連携(アクサ・ユネスコ減災教育プログラム教員研修会への協力)

   研修生が午前中、小学校を訪問するタイミングに合わせて中学生が階上小学校を訪問し、紙芝居

  やクイズ、カルタ等の防災啓発活動を行った。午後には本校体育館で、本校の代表生徒が個人探究

  学習の成果を発表し、ディスカッションを行った。

 

 ③語り部活動

   学校区にある気仙沼市東日本震災遺構・伝承館の協力をいただき、希望する生徒が語り部活動に

  取り組んでいる。